Vol.3 『ユニークな価値観と繋がり』
メッセンジャーネーム:つっちー|メッセンジャー歴:14年
自転車は“日常の足”。歩くだけでは知り得ない景色
つっちーさんはメッセンジャーとして働く以前、自転車に乗って各地をまわっていました。
「旅と言えるかわからないですが、自転車で岐阜、和歌山、大阪などいろいろな土地に行っていた時期がありました。その中で岐阜に行こうと思ったときに、自転車はジャイアントのクロスバイクを買ったところ、『めっちゃ速いし、遠くまで行けるじゃん!』と思ったんです」

メッセンジャーになり、いまでは「自転車は楽しいというより日常の足」と話すつっちーさん。自転車がそのような距離感になったとき、歩くだけでは知り得ない景色と出会いました。
「特に東京や大阪のような街は、さまざまなシチュエーションで自転車の方が速い。坂が多い地域は一概には言えませんが、いま住んでいる家から会社まで通うのも自転車だと20分ほどで、バスや電車だと倍以上かかります。雨の日など天候に左右されてしまうデメリットはあっても、それ以外の良さがたくさんありますし、自転車は自由だなと思いますね。人が少ない早朝は気持ちがいいですし、クルマが少ない夕方は日が暮れる直前がきれいですよ」
目の前にある景色に素直な気持ちで触れ合う自由さを、つっちーさんの言葉から感じました。
メッセンジャーの独特な部分がカルチャーの要素に
つっちーさんは自転車旅を経て、大阪のふたつのメッセンジャー会社で計9年ほど働いたのち、地元の千葉に帰ることを決心。しかし、その帰路で立ち寄ったのがクリオシティでした。
「関西から一度、地元の千葉に帰ろうと思って、キャンプ道具や自転車など運べないものは自分の自転車に積んで運んで……って意味がわからないですよね。カーゴバイクの一種で、ホイールベースが長い、後ろに荷物がたくさん積める自転車がありまして。それに荷物を乗せて走って、京都から横浜までは1週間ちょっとくらいでした。クリオシティはその道中で『ちょっと寄って行きなよ』という感じで遊びに行ったときに誘われて、いまに至ります。縁ですね」

メッセンジャー歴14年目のつっちーさん。現在まで続けてこられた理由は?
「自転車で1日中走るのは大変ですけど、この仕事はすごく好き。……好きといいますか、メッセンジャーの仕事が面白いなと思ってずっとやってきました。例えばメッセンジャーは横のつながりが強くて、クリオシティもほかのメッセンジャー会社もみな、すごく仲が良い。あとメッセンジャーはいろいろな人がいるんですよね。ストリートやスケボーなどカルチャーから入る人もいますし、アーティストや自転車が本当に好きなロードレーサーみたいな人まで。自転車に乗っているメッセンジャーの独特な部分が、カルチャーの要素になっていると思います」
つっちーさんが「独特な部分」と話すメッセンジャーのカルチャーは、世界中のメッセンジャーたちにとっても大切な価値観として根底にあり、それを感じられるイベントがあります。
「メッセンジャーの世界大会(CMWC)では、イベント期間中に地元のメッセンジャーの家に泊まる風習があって。『泊めてくれたからうちの地元でやるときはおいでよ』という、メッセンジャーファミリー的な感じ。そんなユニークなカルチャーがいまもずっと続いています」
そんな熱量のある価値観と繋がりの強さが、色濃いカルチャーを形作っているのかもしれません。クリオシティの拠点でもある横浜で、メッセンジャーの世界大会が開催される2023年。その熱量を持つメッセンジャーたちが集結する日を、つっちーさんも待ち望んでいます。

Interview & Text:工藤 葵 Photo:西村 大輔